久しぶりの船釣り
カテゴリーを釣りにするほど、熱中しているわけでもないが、決して嫌いではないし、昔は瀬渡しなどで磯釣りを楽しんだものだ。加齢とともに遠出が少なくなり、回数も徐々に減っていった。最近はHさんから声が掛かる以外、出かけることもなくなった。
昨年11月ごろからマラソン出場予定のため、足の故障が怖く、岩場で行う冬場のイカ釣りも断ってきたし、久しく船での釣りもやっていなかったが、Hさんと共通の友人であるMさんが、「船釣りをしよう」とのHさんの招待で熊本から姶良市へやってきた。
17日はほぼ晴れそうだし、全員の都合が一致したので挙行することになったのである。ジムで一緒のHZさんも一緒に行くことになった。彼とは今回2度目の釣行であるが、かなりのベテランであることは気付いていたものの、当日これほどまでに釣果に差が付くとは考えても見なかった。
午前6時港集合だったので、5時には起床して、準備万端整え加治木港へ急いだ。朝方は曇っていて、少し肌寒かったので薄いウインドブレーカーを着用した。
彼らは既に乗船していて、H船長は出港の準備に余念がなかった。僕も半年振りの釣りだから何となく気合が入って、「是非今日は彼らより多く釣り上げる」と本心で考えていた。
「先ず腹ごしらえ」と、サンドイッチを頬張り、内心やる気満々であった。走ること30分余、釣り場は鹿児島市の磯海水浴場と桜島の中間地点であるが、既に10艘近くの釣り船が集まっていた。波立っていた海面も1時間後位には静まり、釣りには最適な条件になったようだ。Hさんは熊本から来たMさんへ何とか釣らせてあげたいと、魚探で探し回るが、なかなか魚影を見付けだせない。クルクル漁船の周りを廻ること10分余、ようやく投錨した。
僕は船釣り用の電動リールを持っていない。いくら深くても手回しのリールで、魚の引きと、上げる時の魚の重みを感じたい。そして憎まれ口を叩く。「電動は3倍以上のスピードだが、僕は手釣りでも釣果に殆ど差が無いから」と。その言葉が効けたのか、Hさんが「電動を貸すから是非使ってくれ」と言う。さすがに100mを超すと確かに辛いし、スピードが無いから釣果に差が付く。そあいて僕は何時も市販の仕掛けを使う。料金的には高くつくが、手作りするほど時間もないから何袋か買い溜めしている。さすがベテランのHさんとか、HZサン達は自分で手作りするのである。Hさんが僕とMさんのために、手作りの仕掛けを呉れた。ハリスは6号に針は13号、針にサビキ用の飾りを結び、まるで市販の高級釣り針である。
折角だから借りることにしたが、予備に手回しリールを付けたソリッド竿を持ってきた。HさんとHZさんはそれぞれ2本の電動リール、僕とMさんは1本が電動、1本は手回しを使う。僕は何時でも竿を二本出すことは無い。人ほど集中できない性質だから、1本で十分なのだ。近くに2本出すと、いわゆる”おまつり”で、処理が大変で、気持ちも焦る。でも、折角の親切を断るわけに行かず、使い慣れない電動の使い方を教わり、結局最初は2本の竿を出したのである。
投入5分後、手回しリール竿に誰よりも早く強いあたりが来て、慌てて上げたが、逃げられた。その後にHZさんが声をあげ、中型のサバを釣り上げた。次に再度僕の電動リール竿にあたりがあり、外道の30センチ程度の中型アラカブが上がってきた。幸先良さを感じて、ここで粘ろうと4人共思ったであろう。ところがその後HZさんに2匹サバが上がった以外、3人には全く当たりが無い。この頃までは3匹を釣ったHZさんに、特別の意識を持っていなかった。
中型のアラカブ(かさご)
釣り位置は船首に僕とHZさん、船尾にH船長とMさん。僕は何時ものとおりデジカメで動画や静止画を撮り、ラジオを聞きながらその時までは焦りなど全く感じていなかった。Hさんが「移動しよう」と言う。それから魚影の濃い地点を見つけること30分余、正直僕はイラついてきたが、「何とか釣らせたい」とのHさんの気持ちを察して我慢した。
暫く何の反応も無い。ところがHZさんが大声を上げた。「来た」「こっちも来たぞ」と同時に2本の竿にあたりがあったのだ。この時電動リールの威力を思い知らされた。もしこれが手巻きだと、片方は暫く放って置くか、誰かに巻上げを頼まなければならない。彼は他の1本のリールの巻き上げスイッチを入れ、最初の1本の取り込みをやっているのである。この時点で彼は5匹、僕はアラカブが1匹、他の二人はゼロである。ただ、この時まであまり焦りはなかった。
だが、以後のことについてはこれが現実かと思うほど、確実に差が付き始めるのである。嬉しさを押さえきれないほどの初心者ではない、ベテランのHZさんが、「又来た、こっちも来たぞ」と僕の横で叫ぶ回数が増えてきた。決して厭味でで言っている訳ではないのだが、真横にいる僕は声と共に、サバの大きさを見るのだから、焦らないわけはない。大きさは30cm~35cm程度はあるだろう。
HZさんのクーラーを覗いた(12時頃)
4人が8本の竿を出し、錘は100号程度を使っているが、流れが早いのか何度か絡み合い、とうとう僕の糸がスクリューに巻き付いた時、電動リールの使用をやめて手巻き1本に絞った。既に絡んだ仕掛けが解けず、3個を捨てていた。
錘を120号に換えたのもこの頃である。
HZさんが多分10匹程度上げた時僕はようやく1匹か2匹であったろう。その後もHZさんはどんどん釣り上げる。僕はもう諦めでビールを飲み始め、彼にも勧めた。余裕の彼はそれでも飲みながらも竿から目を放さない。思い切って切り出した「HZさん、あなたの好調が理解できない、場所を変わってくれませんか」普通の人は言えなかっただろうが、僕は自分が釣りたいのではなく、何故彼だけ釣れるのか、真実その理由を知りたかったのだ。「併せてお願いです。あなたの仕掛けを貸してください」。やはり厚かましいか?
とうとう、彼の仕掛けを貰い、場所も変わってもらったのだ。Hさんが船尾から「これで釣れなかったら、あんたは恥搔くぞ」と冷やかすが、不思議な現実の謎解きをしたかった。ところがである。位置を変わったHZさんの声が又響いたのだ。
「来たぞ!」。何と言う皮肉。今まで僕が釣っていた場所である。もう僕は返す言葉もなく、「飯を食うぞ」と言いながら、大好物の納豆巻きとおこわのおにぎりを喰い始めた。相変わらず船尾の二人から声がかからない。彼らもお手上げで諦めたのかもしれない。だが、その後HZさんが相変わらず釣り上げている時、僕に2匹目と3匹目が掛かった。幾らか面目を施したが、彼に釣り上げた数を聞く気にもならなかったし、聞いても彼も覚えていないだろうと思った。大人しく釣っていたMさんと、妙に元気のないH船長にも2匹づつ掛かったことを確認した。
何時もは大漁のHさん、腕に覚えのあるMさん、今日はツキがなかったですね。ま、こんな日もあるでしょう。
食いが止まる時間がある。言うところの”潮止まり”現象であろう。HZさんの”あたり”がなくなった頃を潮時に、2度目の場所変えをするため姶良町の白浜地区へ向かった。岸から100mも離れていないのに、約100mの深さである。この深さだと手動のリールでは辛い。それでも折角だから投入した。何の反応もない。H船長に小型のサバが掛かったころ、急に風が強くなった。ここへ来て30分も経っていなかったろう。
ここが引き上げ時だと感じたH船長、「良し、引き上げだ」との一声で、加治木港へ帰ってきた。間違いなく強風で海が荒れてきた。数えはしなかったが、多分HZさんは24~5匹、僕らは一人3~4匹で、この開きは一体何だったんだろう?
多分仕掛けが全てではなく、海中でのコマセの流れと釣り針の位置を計算した上で、深さを決定する細やかな計算が彼にあったのではと推測した。
HZさんは気分が悪いはずはない。僕等3人に釣ったサバを分けてくれた。何時になく彼が大きく見えたのは、偏に釣り上げた数があまりにも多かった訳で、肥満体の体や分け前を呉れたことは関係ないことである!
ラジオの音がうるさいけど、動画をどうぞ。臨場感を出すため音楽は入れていない。
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